福島県 農林水産部 畜産課

おいしい福島牛を
つくる取り組み

「日本酒王国ふくしま」の酒粕で、
福島牛をさらなる高みへ。

池田農場 代表 池田 剛さん・スタッフ 三島木 寿雄さん

おいしいお米を生む田園地帯で営まれる池田農場。

福島県中通り地方の南部に位置する天栄村は、豊かな自然に囲まれ、天栄米等の上質なお米が育つ米どころとしても知られています。そんな田園地帯の一画に、今回訪れた池田農場はありました。もともとは交雑種を生育、出荷していましたが、2011年の東日本大震災を機に福島牛の飼育にも着手。現在では和牛と交雑牛を併せ300頭以上を飼育しており、福島県でも有数の経営規模となっています。2021年からは一部の牛で酒粕の給与を始め、今年で2年目。毎日牛たちと向き合い、一頭一頭愛情を注ぎながら品質向上を目指す生産者の取り組みや想いを取材しました。

ストレスを与えない環境で、牛の能力を引き出す。

「おいしい牛に育てるためには、牛が持つ能力をいかに引き出すかが大切です」と語るのは代表の池田剛さん。和牛は血統が品質を大きく左右します。父親はもちろん、母の父、母の母の父等、何世代も遡って血統が持つ体格や肉質等を見極め素牛として子牛を調達。福島牛の場合、出荷時期となる28、9カ月まで愛情を注ぎ続けます。休日であっても朝の自分の持ち場確認は欠かせません。「牛は生き物ですから、体調の変化を毎日見守ります。ストレスを与えないことが品質の向上にもつながります」とスタッフの三島木さんは語ります。主な餌はトウモロコシや大麦等で、清らかな井戸水とともに生育状況等を見ながら与えています。また、夏は大型扇風機で涼しく、冬は牛舎を囲って暖かくする等、一年中快適に過ごせる工夫をしています。

牛にも好まれる酒粕。さらなる品質向上への期待も。

そうした努力を重ねる池田農場では、一昨年は出荷前の2カ月間、今年は3カ月間、一部の和牛に酒粕を給与しています。福島県は令和3年酒造年度全国新酒鑑評会で9回連続金賞受賞数日本一を達成した「日本酒王国」。県内の蔵元で生まれた酒粕を、生産者が扱いやすく、牛が食べやすいパウダー状にして通常の餌と一緒に与えています。黄色味がかった粉末の袋を開けると、プワッーと華やかな甘い香りが広がり、私たちも思わず唾が出るほど。実際、「牛たちがとにかくよく食べてくれます。おいしいのでしょうね」と三島木さんの表情も緩みます。出荷前は牛の大事な仕上げ期です。いかに餌を食べてもらい、立派な牛になってもらうかが品質や価格を決めます。ただ、牛も人と一緒で、同じ餌ばかりでは飽きてしまいます。この時期に豊かな風味と栄養を持つ酒粕を給与することで、出荷直前まで成長を促し、より優れた肉質につながることが期待されます。「畜産の魅力は、やってきたことが答えとして牛に現れること。牛のため、品質向上のためなら、どんなことにもチャレンジしていきます」と池田さん。酒粕を給与するという新たな挑戦は、福島牛の能力を引き出し、さらなる高みへと成長させるきっかけになりそうです。

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